2007年05月26日

殺意・鬼哭/乃南アサ

内容(「BOOK」データベースより)
『殺意』は、加害者・真垣徹の独白で綴られている。内なる大輪の花に魅せられ、彼は「殺人者」になる。『鬼哭』は、被害者・的場直弘の独白で綴られている。それは刺されてから死ぬまでの3分間の意識の流れ。「おそらくミステリー史上、かつてない試みであろう。…エンターテインメントの域をはるかに越え出た力業である」と評された異色作。


一つの殺人事件の加害者と被害者の独白を前半と後半に分けて構成した一風面白そうな試みに惹かれて読みました。『殺意』と『鬼哭』は元々、別作品扱いされていたのが文庫本で一つ(?)になったそうです。

―「呆れてものが言えねえよっ!」

被害者のたった一言が加害者・真垣の内に眠る殺意を覚醒させ、その芽を3年間育て上げた心理描写が『殺意』。相手が憎かったわけではなく、人類が生まれながらに持つ殺意を目覚めさせてしまったということ。刑務所出所後も殺人者の道を歩むと心に決めた彼の底知れぬ恐ろしさが、『殺意』の持ち味だと思います。

そして、その不運を背負ったのが被害者・的場。圧倒的に惨めな男です。
真垣に刺されてた瞬間から絶命するまでの約3分間の意識を走馬灯のように描ききった作者の手腕に脱帽です。
死に逝く3分間の意識と現状をスローモーションにして過去の回想を交えつつ、よくここまで沢山描けたなと感心しました。

殺意・鬼哭殺意・鬼哭
乃南 アサ

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2007年05月21日

たぶん最後の御挨拶/東野圭吾

表題通り、5冊目にして最後になるであろう東野氏のエッセイ。
表紙と目次に描かれてるニャンコのイラストは彼本人の直筆なんですよね。たぶん。

自分史の紹介と『使命と魂のリミット』までの自作紹介、映画化に対するコメント、地元話や学生時代、サラリーマン時代などの苦労、現在進行形の作家生活話や思い出話など、幅広く楽しめました。
特に過去作品に対するコメントがありがたいです。こちらとしても噛みしめて読まないと、とかしこまってしまいます。

意外や意外、この方、文学賞受賞数が少ないんですね。ほとんどの作品に何かしらの文学賞が付いていそうなイメージがあるのですが。
そう思うと文学賞受賞なんてものは評論家に恵まれているかどうかその時の運が大きく、「受賞作=最良作」という構図は案外当てにならんということです。

作品のテーマが社会的にタイムリーだと流行りに乗っているといわれ、早すぎると理解されないという不運の持ち主だということが判りました。

作品の本質を理解する能力がない評論家に対するグチがまともに書かれてて飾らない人柄だと思いました。
自称アホ家族といいながらも姉弟で元・スチュワーデスだの教師だの作家だのやっていればアホ家族とは一味も二味も違うだろ、とも思ったり。

アンチジャイアンツでありながら『巨人の星』が大好きな東野氏は爆笑問題の太田氏と本件について対談したらゼッータイ盛り上がると確信しました。実現しないかな〜。『巨人の星』にはこれっぽっちも興味がないけれど、いい大人が漫画を巡って熱く論争する姿が見たい。

一番面白かったのは「死ぬほど食べたい!」という料理屋の話。一人前のコース料理で30品が次から次へと出てきて、それを東野氏と福井晴敏氏と新野剛志氏の3人がヒーヒー言いながら食べる姿が目に浮かぶようで可笑しかった〜。これを食べきるには飲み物の分量やら胃もたれ料理は後回しなどの采配が大事で頭脳が必要とされるのでしょう。一番参ってたのは福井氏なのだ。

たぶん最後の御挨拶たぶん最後の御挨拶
東野 圭吾

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2007年05月18日

影踏み/横山秀夫

内容(「BOOK」データベースより)
窃盗罪での服役を終え出所した真壁修一(34)が真っ先に足を向けたのは警察署だった。二年前、自らが捕まった事件の謎を解くために。あの日忍び込んだ家の女は夫を焼き殺そうとしていた―。生きている人間を焼き殺す。それは真壁の中で双子の弟・啓二の命を奪った事件と重なった。十五年前、空き巣を重ねた啓二を道連れに母が自宅に火を放った。法曹界を目指していた真壁の人生は…。一人の女性をめぐり業火に消えた双子の弟。残された兄。三つの魂が絡み合う哀切のハード・サスペンス。


窃盗罪で刑務所を何度も出入りする男が、15年前に焼死した双子の弟の魂(?)の声とともに事件の謎を解く話です。

内縁の妻にあたる女性がありながら、人生を正すことなく窃盗を繰り返し続ける主人公に苛立ちさえ覚えた。読み進めるとなりを正さないそれなりの思惑が主人公にはあるのだけれど、それでも共感には程遠い。

そもそも窃盗目的で家屋に侵入する際、無差別にターゲットを選んでいること自体どうもダメ。せめて汚い金を囲ってる家を選べよってさ。

影踏み影踏み
横山 秀夫

祥伝社 2003-11
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2007年05月16日

名もなき毒/宮部みゆき

内容(「BOOK」データベースより)
どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。


これ、「このミステリィがすごい!」にランクインしたんだっけかな?
よく知りませんが、賞を獲得したと前知識を入れて読むと肩透かしくらう一冊でした。

テーマは毒で、殺人道具に使用された毒、人間の心の毒、土壌汚染の毒、シックハウス症候群など多角的方面から毒を照らし重厚な味は出ているものの、魅力的な登場人物がいないので何となく心の中で棒読みしてました。

読んでいるうちに気付きましたが、どうやらシリーズ前作があったらしく、そのことにも多少触れてある。前作を読んでいなくても本作に支障はないが、置いてけぼりのような気持ちにさせられてしまう個所が数点あり何となく心に引っ掛かりました。

解毒剤代わりなのか表紙はかわいいね(笑)。和む。

名もなき毒名もなき毒
宮部 みゆき

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2007年05月13日

ドラマ「めぞん一刻」

スペシャルドラマ「めぞん一刻」

観ました。
音無響子の持つテンネンが伊東美咲本来のテンネンそのものだったような気がします。80年代の服も可愛く着こなしてました。一方、五代裕作(中林大樹)のはんてんの柄は凄まじかったな(笑)。

六本木朱美(高橋由美子)のキャスティングは痛い!
仮にも27歳の設定。なのにあの二重顎・・・。震える腹の贅肉にも目を背けたくなりました。アイタタタ。
あと、下着は赤のシミーズでないと朱美さんじゃないよなぁ・・・。
五代君の言う「見たくもなくもの見せられて迷惑です」に共感してイイかな。

キャストの紹介で四谷さん(岸部一徳)の名前が「四谷さん」になってたのは笑った。五代君の部屋の壁から自室に戻る時はいかにもスタッフが四谷さんの足を引っ張ってまーすと分かる退場の仕方。漫画を忠実に再現したがための失態に見えなくもないが、面白かったので細かいことは目を瞑ります。

五代君の予備校の友達の坂本(橋爪遼)君は、うわぁ〜昔のポスターから飛び出してきたような昔の顔だ〜。この人の顔の造形が一番時代を反映していたと思います。

初めは一刻館の住人がすごく嫌なヤツに見えて、このままこのイメージを引きずったら「めぞん一刻」でなくなるよなぁ、と危惧してたけど、終盤一応はいい人に落ち着いてとりあえず安心しました。
自分が彼らと同じアパートに住むのは正直我慢なりませんが。プライバシーの侵害、住居侵入、許されたのはこの時代だからでしょうな。

にしても音無響子と五代裕作に子どもが産まれるのはかなり遅い?
彼らが30代後半頃に誕生したんですか?

テーマ曲は大衆向けを狙ってなのか「守ってあげたい」(松任谷由美)。
個人的にはアニメ版の「悲しみよこんにちは」(斉藤由貴)を期待してました。
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2007年05月06日

愚行録/貫井徳郎

出版社 / 著者からの内容紹介
一家を惨殺した≪怪物≫はどこに潜んでいたのか? さまざまな証言を通して浮かび上がる家族の肖像、そして人間たちの愚行のカタログ。痛切にして哀切な、『慟哭』『プリズム』を凌駕する著者の真骨頂的作品、ついに登場!


閑静な住宅街での一家四人惨殺事件。犯人の侵入経路は浴室の窓。これだけ聞くと世田谷の一家惨殺事件を思い出さずにはいられない。本件の被害家族のバックグラウンドは本作のそれとは全く別のものです。

インタビュー形式で被害家族の実像に迫るというのは『ユージニア』(恩田陸・著)や『Q&A』(同・著)、『理由』(宮部みゆき・著)を彷彿させるものがあるけど、これらと決定的に違うのがインタビュアー、本作でいうルポライターの存在の大きさ。ルポライターが一家惨殺事件を取材する理由、ルポライターの正体。そもそも彼は本当にルポライターか、と。最後にはふんぎゃーと踏ん反り返ったぞ。

被害者夫婦の旧友と同僚と近所付き合いのある主婦の話で本作は構成されており、ルポライターのセリフは一言もなし。
終盤あたりからルポライターの真意が見えてきてゾガーと恐ろしくなりました。初めは全く気にならなかったルポライターの存在が最後には巨大な影に思えるの。目に見えないものこそ恐ろしい。別に幽霊でしたー、なんてオチじゃないよ。

被害者夫婦の大学時代の友人が明かす人物像と、会社の人間が話す夫の顔、ご近所の知る妻の姿、共通する部分があったりなかったり。
それにしても女性の裏の顔や嫌らしい真相心理を見抜くのはやはり女性の得意技ですな。

愚行録愚行録
貫井 徳郎

東京創元社 2006-03-22
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2007年05月04日

あくむ/井上夢人

内容(「BOOK」データベースより)
盗聴、その秘密の趣味にのめりこんだ時から、僕の生活は変わった。(「ホワイトノイズ」)ここは病院らしい。両眼を包帯で巻かれた私に誰かが近づいてくる。(「ブラックライト」)高校生のころ私は、人々と自分が違う「種」であることを知った。(「ブルーブラッド」)夢なのか、現実なのか、すべてがあいまいなまま“恐怖”という感覚に集約されてゆく。覚めやらぬ“あくむ”そのままの5つのホラーストーリー。


単なる悪夢だったらどれほどよかっただろうか、と思わせる5つの短編ホラー。
現実と夢の境目があやふやではあるけれども、全て現実と思わせるところに恐怖が2倍。

「ホワイトノイズ」は盗聴と恐喝と僕の正義感。
「ブラックライト」は病院、拘束、現実は悪夢より辛い。
「ブルーブラッド」は異種の同化、それ勘違い。
「ゴールデンケージ」は幻覚、寄生虫、誰か証明してあげて。
「インビジブル ドリーム」は他人の予知夢、どこがエッチやねん。

・・・キーワードはこんなものかな。
偏りのない5種類のホラーを楽しめました。
その中でも「ゴールデンケージ」 は皆が不幸で後味悪いし、体内をはびこる疥癬が気持ち悪かったなー。

あくむあくむ
井上 夢人

集英社 1996-08
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2007年05月02日

肉食屋敷/小林泰三

内容(「BOOK」データベースより)
異星からの遺伝子、内臓の臭い、一途な愛の狂気…現実のちょっと向こう側に渦巻く恐怖の世界。日本ホラー小説大賞短編賞作家が恐怖を凝縮させた4つの物語。ジュラシック・パークに刺激された研究者が、6500万年前の地層の中にあるDNAから地球外生命体を復元してしまう「肉食屋敷」、西部劇をモチーフにゾンビの世界を描いた「ジャンク」、人間の一途な愛が恐怖を生み出す「妻への三通の告白」、自分の中にあるもう一つの人格が犯した殺人に怯える「獣の記憶」を収録した小林泰三傑作短編集。


いい感じにグロイ3つ4つの短編集。

「肉食屋敷」
あとがきで作者さんは怪獣小説と説明されているけれども、怪獣と聞くとどことなく響きが和んだ感じになってしまって違和感あるな。
6500万年前の地球外生命体と人間をミックスしたエイリアンといったほうがおどろおどろしいさがある。

「ジャンク」
西部劇だとはあとがきを読むまで気付かなかったバカです。
だってさー、腐った人造馬引き連れてるんだもんよー。

「妻への三通の告白」
余命少ない老人が妻に宛てた手紙という形式で若い時代の三角関係を振り返る。ホロリ話かと思ったら全然違う。このサイコスリラーにはやられた!
にしても手紙執筆の老人の名前が野原で、その友人が磯野であることに笑った。

「獣の記憶」
ミステリー。精神異常と思われる主人公の奇行や最後のどんでん返しなど、折原作品のさらに濃いバージョンを読んでいるような気持ちになりました。

肉食屋敷肉食屋敷
小林 泰三

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2007年05月01日

スパイダーマン3

世界最速公開行って参りました。
あいつが敵になったり、こいつが味方になったり、あぁ目まぐるしい。

メリー・ジェーン・ワトソン(キルティン・ダンスト)を観るたび、昔Smaステーションの「おすぎはいくら?」のコーナーでおすぎがMJのことを超おブスと連発していたことを思い出します。「とにかくこの娘、本当におブスなのよ! どうしてなのかしら」なんて言ってましたから。実際もっと毒舌でした。
いやいや恋する女子は可愛いですよ。事実MJはイヤミがない。

娘の治療費を稼ぐために強盗を働き、ピーター・パーカー(トビー・マグワイア)の伯父殺しの容疑をかけられた脱獄犯フリント・マルコ(トーマス・ヘイデン・チャーチ)が敵の一人・サンドマン。

ピーターと揉め事を起こした新聞社の新人アルバイトエディ・ブロック(トファー・グレイス)がもう一人の敵・ヴェノス。

父親の仇と思い込んだハリー・オズボーン(ジェームズ・フランコ)がニュー・ゴブリンとして3人目の敵。

隕石に付着していた黒い液状生命体に心を支配されたピーター自身が隠れ敵キャラ・ブラック・スパイダーマン。

直接的描写はないけどニューヨーク市民結構死んでるよなぁ・・・。一般市民の死を前面に出さないのが本作のいい所。街中でスパイダーマンの出した糸を処理するのに市民は大変だろうにそれをスルーするのもいい所。シリーズ通してMJがしょちゅう狙われるのはお約束で、そこがコミックらしさ溢れてて微笑ましい。
脱獄囚フリントがわざわざ、ボーダーの私服を選んで着ていたのも何だか可笑しかった。天然?

『ロード・オブ・ザ・リング』を彷彿させる指輪のシーンでニヤリ。

ハリーがピーターへの誤解を解いて気持ちを通わすという描写は、ピーターがフリント・マルコの罪を許すことに繋がっていて人との繋がりや内面描写も十分楽しめました。『スパイダーマン』は戦闘シーンとヒューマン要素のバランスがいい。
人を許すということは、その実自分を許すということなのね。

最後はシリーズ1と同じような終わり方だったかな。後味は良くないけれど、絶望的でもない。次回作、こりゃあるな。いつか市民に顔がバレてヒーローの仕事がしにくくなりそうだ。
サンドマンはフェイドアウトだし、黒いネバネバは根絶できてない(大学教授が持ってる)し、これはどうなるのだろう。

余談。警部(署長?)役はロロトマシー〜。なんのこっちゃ?
posted by 桃鳥 at 23:50 | Comment(2) | TrackBack(34) | 映画・DVD

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