『疲労凍死/天幕の話』(平山三男・著)の帯で「新田次郎の再来か!」と謳われていたのでそんなに面白いのかと読んでみました。六つの短編で、きっちり六通りの違った味を楽しめました。
「強力伝」 は約180キロの石を2つ、山頂まで運んだ男性の実話を元に小説化。この男性が小宮山正さんという人らしく、ネットで調べて例の風景指示盤見ました。デカッ!
小宮山氏はこの強力が遠因で無くなったそうですが、強力募集の新聞広告に乗せられた無謀者と思うか、猛者と思うかは読者次第。
「八甲田山」は雪山遭難の恐怖を描いたもので、極限に陥った人間の行動や幻覚が決して大げさではないだけに生々しかったです。6つの中で一番恐ろしかった。
「おとし穴」は民話かな。穴に落ちた山犬と人間の攻防が長く続きますが臨場感あります。山犬は『もののけ姫』の山犬のように口が裂けたようなキツい印象の犬を想像しながら読みました。
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