2010年02月11日

強力伝・孤島/新田次郎

「強力伝」、「八甲田山」、「凍傷」、「おとし穴」、「山犬物語」、「孤島」の短編集。

『疲労凍死/天幕の話』(平山三男・著)の帯で「新田次郎の再来か!」と謳われていたのでそんなに面白いのかと読んでみました。六つの短編で、きっちり六通りの違った味を楽しめました。

「強力伝」 は約180キロの石を2つ、山頂まで運んだ男性の実話を元に小説化。この男性が小宮山正さんという人らしく、ネットで調べて例の風景指示盤見ました。デカッ!
小宮山氏はこの強力が遠因で無くなったそうですが、強力募集の新聞広告に乗せられた無謀者と思うか、猛者と思うかは読者次第。

「八甲田山」は雪山遭難の恐怖を描いたもので、極限に陥った人間の行動や幻覚が決して大げさではないだけに生々しかったです。6つの中で一番恐ろしかった。

「おとし穴」は民話かな。穴に落ちた山犬と人間の攻防が長く続きますが臨場感あります。山犬は『もののけ姫』の山犬のように口が裂けたようなキツい印象の犬を想像しながら読みました。

強力伝・孤島強力伝・孤島

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posted by 桃鳥 at 23:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍

疲労凍死/天幕の話/平山三男

内容紹介
本格山岳小説の旗手、現る!
1955年5月末、那須連峰で高校生6人が遭難した・・・・・・
『山と溪谷』に連載された小説の待望の単行本化。
ある登山家の遭難をめぐる奇譚「天幕の話」も併録。


過去に実際あった遭難を題材に彼らの心を描いた『疲労凍死』。遭難した高校生と教師の行動心理描写は作者の推測に過ぎないけれど引き込まれました。自宅で待つ気丈な母親の気持ち、そしてついには責任者である引率教師宅の前で叫ぶ姿がやるせない。

『天幕の話』は遭難死した人の死ぬ間際までの心理を代弁したもの。滑落した登山者が絶望的になるのではなく生きようとした痕跡を残していたのがやるせない。

どちらも遭難者の代弁・推測ですが実際に雪山で遭難死体と向き合った人でないと書けない内容であることは容易に想像できます。発見した遭難死体に対して「こんなとこで死にやがって!バカヤロウ」と嘆くシーンがありますが、これはまさに同じ登山者である作者の言葉そのものだと思う。登山者の死を他人の死として処理しないことに作者の温かい人間性を感じます。

雪山登山という猛烈に寒い小説を布団の中でぬくぬくと読むのが快感です。ただ『天幕の話』 が奇妙なだけにリアルで怖い夢見ました。


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posted by 桃鳥 at 22:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍

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