2005年12月09日

亡国のイージス/福井晴敏

内容(「BOOK」データベースより)
自らの掟に従い、15歳で父親を手にかけた少年。一人息子を国家に惨殺され、それまでの人生をなげうち鬼となった男。祖国に絶望して叛逆の牙をむく、孤独な北朝鮮工作員。男たちの底深い情念が最新のシステム護衛艦を暴走させ、一億二千万の民を擁する国家がなす術もなく立ちつくす。圧倒的筆力が描き出す、慟哭する魂の航路。


読み始めてから感想あげるまでに3ヶ月かかりました。

『川の深さ』でも思ったけど、福井晴敏氏の本はときどき取っ付きにくい箇所がある。主に組織の説明と相関図がね。私の理解力不足なだけですが(笑)。

映画ではアクションが前面に目立ってあまり気付かなかった、「国防の無力さ」というものが印象的だったかな。

以下、ネタバレ感想です。




行が護衛艦に手を振る、という嵐の前の静けさを思わせる場面から話は始まって、全てにケリがついた後に再び護衛艦に手を振るシーンで締める構図は好きなんだけど、なんせ読破するのに1ヶ月半かかったから、感慨深さも半減で勿体ないことしました。

個人的にはヨンファの栄枯衰退が面白かったです。無敵と思われたヨンファも妹ジョンヒの気持ちが彼から離反するのをきっかけに、目には見えない精神的な衰退っぷりが巧妙に表現されてました。

でもこれ、仙石と宮津艦長のビジョンでヨンファの衰退を表現してるだけであって、本当に弱っているかは本人のみぞ知る、といったところかな。
「ヨンファが弱ってきた!今だ!」と読者に思わせておいてヤツの回し蹴りが飛んでくるからおっかない。

「よく見ろ ニッポン人 これが戦争だ」のくだりは映画版の方が断然インパクトがありました。

戦場化した《いそかぜ》内を駆け抜ける行と仙石のこの表現に笑った。
「敏捷な小動物を思わせる細身と、その後をドタバタ追いかける大柄が硝煙の立ちこめる通路を走り〜」この一文に、相反する2人の容姿と性格が集約されてるんじゃないかと思いました。

既読の方には説明するまでもありませんが、
「敏捷な小動物を思わせる細身」が如月行で、
「その後をドタバタ追いかける大柄」が仙石先任伍長です。

余談ですが宮津艦長が卒業なさった江田島の海上自衛隊幹部候補生学校へ以前見学に行ったのですが、ここの食堂めちゃウマ。カラ揚げが口内に突き刺さるほどカリッカリでした。

映画版『亡国のイージス』の感想はこちら

亡国のイージス亡国のイージス
福井 晴敏

講談社 1999-08
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posted by 桃鳥 at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(2) | 書籍
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(書評)亡国のイージス
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Weblog: たこの感想文
Tracked: 2005-12-10 09:24

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