2006年01月08日

蠅の王/ウィリアム・ゴールディング

出版社/著者からの内容紹介
未来における大戦のさなか、イギリスから疎開する少年たちの乗っていた飛行機が攻撃を受け、南太平洋の孤島に不時着した。大人のいない世界で、彼らは隊長を選び、平和な秩序だった生活を送るが、しだいに、心に巣食う獣性にめざめ激しい内部対立から殺伐で陰惨な闘争へと駆りたてられてゆく・・・・・・。少年漂流記物語の形式をとりながら、人間のあり方を鋭く追究した問題作。


「獣ヲ殺セ!ソノ喉ヲ切レ!血ヲ流セ!殺ッツケロ!」

数年前に読んだ小説版『漂流教室』の流れでずっと読みたいと思ってたのですがやーっと読めた。

少年たちの自己主張が強すぎるし、話の流れも盛り上がりがさほどなく淡々としてたので途中で読むの止めようかと思ってたのですが中盤から面白くなりました。ちょうど少年らが完全に二分化して、狂気に取り付かれていく辺りから。隊長と呼ばれてたのがいつの間にか酋長と呼ばれるようになり、顔にも迷彩用のペインティング、まるで人喰いインディアンに変貌したかのようでした。

内容は『十五少年漂流記』みたいな感じですが、これが愛と勇気と冒険と、少年文学を謳うなら、本作は憎悪や暴走や狂気などと負のイメージしかなく暗いです。子ども向け文学では無いせいか友情もなし。

少年がまるで悪霊に取り付かれたように豹変してしまい、同じ年頃の子どもを殺しても罪悪感はないんですよね。作中でも殺された子どもらは波にさらわれて、まるで何事もなかったかのように事が進みます。加えて子ども達の中でも意識的に無かったこととして処理されてしまうんですよ。

世界では大人達が戦争をして、孤島の中でも子ども達が戦争をするといった皮肉たっぷりな話でした。

身に迫る怖さがあったかかどうかというと、集中して読まなかったので引き込まれはしませんでしたけど。要するに暗かった(笑)。

蝿の王蝿の王
ウィリアム・ゴールディング

新潮社 1975-03
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posted by 桃鳥 at 16:24 | Comment(2) | TrackBack(2) | 書籍
この記事へのコメント
こんにちは。
無人島の話って、大変だけれどもいろんな苦難を皆で乗り越えて
友情や愛情に・・・なんて楽しい話が多い中、この本は
めっぽう重かったですよねえ。
まぁ、これも現実なんでしょうが、みんなが国に帰ったあとの
わだかまりが気になります。カウンセリング行きかな。
やっぱ、自分の身を守るためには強いものに従うしかないんでしょうかね。。
Posted by へーゼル☆ナッツ at 2006年05月05日 12:01
>へーゼル☆ナッツさん
こんにちは。
無人島サバイバルは手垢の付いた題材でありながら、この本は印象に残る一冊でした。
完全に大人向け文学ですよね。

子供世界の秩序って大人は理解できないかもしれないし、カウンセリングも上手く進行するのか不安です。みんなPTSDになりますよね。

大人が迎えに来て「あぁ、この子たちは普通の子供だったんだっけ」と思ってしまうほどの豹変っぷりでした。
Posted by 桃鳥 at 2006年05月06日 02:18
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『蠅の王』 ウィリアム・ゴールディング
Excerpt: 近未来。 大戦中に飛行機が打ち落とされ、 洋上の孤島に取り残された、少年たち。 最初は漂流紀っぽく、きらきらと輝く南の島の美しさや、 大人のいない世界を存分に楽しむ男の子たちの、 楽しそ..
Weblog: *モナミ*
Tracked: 2006-05-04 13:31

『蝿の王』ウィリアム・ジェラルド・ゴールディング著
Excerpt: 蝿の王1978年01月/文庫343p◇内容◇南太平洋の孤島に、飛行機で不時着した少年たち。だが、その島で野性にめざめた彼らは殺りくをくり返す…。極限状況の中の新しい秩序とその崩壊を通して、人間と社会の..
Weblog: ヘーゼル・ナッツ☆シネマ カフェ
Tracked: 2006-05-05 12:02
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