悔やんでも悔やみきれない過ちがある。残された人生をより良く生きようと決意して、男は息子を連れて旅に出た…。ほろ苦さと優しさを巧みにすくう感動長編。
塾の三者懇談に行く途中、妻が居眠り運転をして交通事故。息子は脚切断、妻は死亡。
このとき夫は浮気中で、事故の知らせを受けたのが会社の若い女性を抱いている最中というから最悪です。
妻は薬を服用しているから懇談会行きを代わってほしいと言ったのに、夫は会社の接待があるからと嘘をついて起こった結果がこれ。
塞ぎがちな息子の心身リハビリと、自分への戒めのために自転車で東京から沖縄まで妻の遺骨を運び、その旅先で人生に悩む人々に出会って彼らを諭しつつ自らの心も氷解していく話です。章ごとで読み切りになってるので読みやすいです。
でも、ちょっと似通った設定がいくつか重なってたような。
最後に愛人が出てくるんですけど、この人の言ってること理解できん・・・。
・事故の責任をとりたい。
・まだ好き。
・よって結婚したい。
・不幸の仲間入りをしたい。
・そうすることが責任をとる方法だ。
これが作中ではこの女性は苛めてほしかったらこう言った、となっているのですがどうなんでしょ。
事故の知らせを受けたとき何をしていたかを息子に告白する理由として「けじめをつけたい」「隠しておくのは卑怯だ」「息子にも知る権利がある」となっているのですが、なんか美しすぎな気がしました。本心として「楽になりたい」という意識もあると思うんだけどなー。
息子は中学一年生で不登校です。
ちょっと模範的な内容で、国語の教科書読んでるみたいでした。
震災被災者の少年と出会う話がほろ苦くて好きです。
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私も最後の愛人さんのセリフには「はぁ?何言ってんだこいつ??」(はっお言葉使いが悪いわっ)と思いました。意味不明です。こういう女は大嫌いでーす。もっとかっこよく出してくれればよかったのに…。
愛人はもともと事故のきっかけをつくった本人なんですから、関係を断つのが妥当だと思うんですけどね。
償いの方法は色々ですけど自分の持論を押し付けられてもねぇ・・・て感じです。
こういうのって作者と読者の感性の違いですよね。