2010年02月11日

疲労凍死/天幕の話/平山三男

内容紹介
本格山岳小説の旗手、現る!
1955年5月末、那須連峰で高校生6人が遭難した・・・・・・
『山と溪谷』に連載された小説の待望の単行本化。
ある登山家の遭難をめぐる奇譚「天幕の話」も併録。


過去に実際あった遭難を題材に彼らの心を描いた『疲労凍死』。遭難した高校生と教師の行動心理描写は作者の推測に過ぎないけれど引き込まれました。自宅で待つ気丈な母親の気持ち、そしてついには責任者である引率教師宅の前で叫ぶ姿がやるせない。

『天幕の話』は遭難死した人の死ぬ間際までの心理を代弁したもの。滑落した登山者が絶望的になるのではなく生きようとした痕跡を残していたのがやるせない。

どちらも遭難者の代弁・推測ですが実際に雪山で遭難死体と向き合った人でないと書けない内容であることは容易に想像できます。発見した遭難死体に対して「こんなとこで死にやがって!バカヤロウ」と嘆くシーンがありますが、これはまさに同じ登山者である作者の言葉そのものだと思う。登山者の死を他人の死として処理しないことに作者の温かい人間性を感じます。

雪山登山という猛烈に寒い小説を布団の中でぬくぬくと読むのが快感です。ただ『天幕の話』 が奇妙なだけにリアルで怖い夢見ました。


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posted by 桃鳥 at 22:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍
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