高校野球界のスーパースターがガソリンを全身にかけられ焼死するというショッキングな事件が起こった。たまたま事件現場に行き合わせた弟の進也と、蓮見探偵事務所の調査員・加代子、そして俺――元警察犬のマサは、真相究明に乗り出す。社会的テーマと卓抜な人物描写で今日を予感させる鬼才・宮部みゆきの記念すべき爽快なデビュー長編。
以前読んだ同作者の『長い長い殺人』で、語り手が財布という発想にユーモアを感じましたが、本作の語り手は犬。元警察犬だから人間ウォッチングも鋭い。
子供を利用しての人体実験、しかも被験者が自分を被験者だと思っていない。製薬会社が行った人体実験の内容は横暴すぎて正直リアリティを感じませんが、デビュー作とは思えないほど説得力はあります。
「パーフェクト・ブルー」というタイトルを強調してのことか、ショッキングで悲しい事件にも関わらず精一杯の爽やかさを与えてくれるあたり、宮部作品の原点を見た気がします。
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こちらからもさせて頂きました。読んだのが少々前なので、藍色さまの感想を拝読して懐かしい気持ちになりました。