ふつうの少年がなぜ人を殺すのか。世の中への違和感を抱え、彼らは何を思い、どんな行動に出るのか―やがて殺人者になる三人の心の軌跡をたどった戦慄のクライム・ノベル。
設定は2000年の少年法改正以前です。接点のない14歳の少年3人が殺人を犯す過程、中等少年院内での3人の邂逅、卒院後の生き方をダダッと追ったお話です。
まー、なんというか上下巻で長いんだけど、3人それぞれの行動が入れ替わり立ち代わり切り替わる構成がとてもお上手でぐんぐん読めてしまいました。しかし中身は重い。
小学生のとき苛められた経験があり、自分の容姿に嫌悪。過干渉を嫌う中学生が女教師殺しを。
家が裕福、頭脳明晰、スポーツ万能、容姿端麗、物事を冷静に分析できる中学生が幼馴染殺しを。
実母に育児放棄されて依頼、叔母と祖母に育てられ不満を口に出来ない中学生が実母殺しを。
3人とも内心では反省しないまま卒院ときた。
少年院は罪を償うところではなく、更正を目的とした所です。なのに3人が少年院で覚えたことといえば、減点されないよう上手く立ち回ること、悪劣な人間関係を乗り越えること、環境に馴染むことetc。
罰を受けることなく卒院した彼らが社会からつま弾きされ、再会と同時にさらに悪い事態へと転がっていく状況を見ていられなくて「なんでだよー、目ぇ覚ませよー」と胸倉掴んでワッサワッサと揺らしたい気分でした。
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