以前、書籍版(シナリオ本)読了後に感想を書いているのですが、映画版についても軽く。
やっぱり、痴漢現場のシーンは文字より映像のほうが状況がはるかにわかりやすいです。
「公判途中で裁判長の交代、ありえねー」とか叫べたらどんなに気が楽になるやら。交代後の裁判長はほとんど警察より丸見えで、検事が法衣を着ているようなもの。
主演・加瀬亮のあまりにも普通でそこらへんにうじゃうじゃいるような青年に突然ふりかかった痴漢容疑。これはまさに誰にでも起こりうる悲劇を示唆しているのでしょう。
最終公判時の徹平(加瀬亮)の半泣きの訴えは怒号や号泣より真に迫るものがあります。
そして有罪判決。無辜を罰するなら、裁判長は間違った判決を出した罪であなたを有罪にします、という徹平の独白が胸に響きます。
本作を視聴した人の中には、男性なら主人公に自分を当てはめスライディングし身震い。女性なら痴漢被害者に自分を投影し不安に陥った人も多いと思います。本作のような司法手続きと裁判が現状でなされていると知って、それでも痴漢被害の女性に勇気をもって捕まえろとは言えんだろ、という話ですよ。
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