2010年02月11日

強力伝・孤島/新田次郎

「強力伝」、「八甲田山」、「凍傷」、「おとし穴」、「山犬物語」、「孤島」の短編集。

『疲労凍死/天幕の話』(平山三男・著)の帯で「新田次郎の再来か!」と謳われていたのでそんなに面白いのかと読んでみました。六つの短編で、きっちり六通りの違った味を楽しめました。

「強力伝」 は約180キロの石を2つ、山頂まで運んだ男性の実話を元に小説化。この男性が小宮山正さんという人らしく、ネットで調べて例の風景指示盤見ました。デカッ!
小宮山氏はこの強力が遠因で無くなったそうですが、強力募集の新聞広告に乗せられた無謀者と思うか、猛者と思うかは読者次第。

「八甲田山」は雪山遭難の恐怖を描いたもので、極限に陥った人間の行動や幻覚が決して大げさではないだけに生々しかったです。6つの中で一番恐ろしかった。

「おとし穴」は民話かな。穴に落ちた山犬と人間の攻防が長く続きますが臨場感あります。山犬は『もののけ姫』の山犬のように口が裂けたようなキツい印象の犬を想像しながら読みました。

強力伝・孤島強力伝・孤島

新潮社 1965-07
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疲労凍死/天幕の話/平山三男

内容紹介
本格山岳小説の旗手、現る!
1955年5月末、那須連峰で高校生6人が遭難した・・・・・・
『山と溪谷』に連載された小説の待望の単行本化。
ある登山家の遭難をめぐる奇譚「天幕の話」も併録。


過去に実際あった遭難を題材に彼らの心を描いた『疲労凍死』。遭難した高校生と教師の行動心理描写は作者の推測に過ぎないけれど引き込まれました。自宅で待つ気丈な母親の気持ち、そしてついには責任者である引率教師宅の前で叫ぶ姿がやるせない。

『天幕の話』は遭難死した人の死ぬ間際までの心理を代弁したもの。滑落した登山者が絶望的になるのではなく生きようとした痕跡を残していたのがやるせない。

どちらも遭難者の代弁・推測ですが実際に雪山で遭難死体と向き合った人でないと書けない内容であることは容易に想像できます。発見した遭難死体に対して「こんなとこで死にやがって!バカヤロウ」と嘆くシーンがありますが、これはまさに同じ登山者である作者の言葉そのものだと思う。登山者の死を他人の死として処理しないことに作者の温かい人間性を感じます。

雪山登山という猛烈に寒い小説を布団の中でぬくぬくと読むのが快感です。ただ『天幕の話』 が奇妙なだけにリアルで怖い夢見ました。


山溪叢書4 疲労凍死/天幕の話山溪叢書4 疲労凍死/天幕の話

山と溪谷社 2009-09-09
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2008年10月08日

流星の絆/東野圭吾

内容紹介
全ての東野作品を凌ぐ現代エンタメ最高峰!
殺された両親の仇討ちを流星のもと誓った功一、泰輔、静奈の兄妹。
十四年後、泰輔が事件当日目撃した男に、功一が仕掛ける復讐計画。
誤算は、静奈の恋心だった。


久しぶりに東野作品読みました。
『百夜行』が私の中ではナンバー1なのでそれを超えるほどではなかったし、兄弟たちが偽の証拠をでっち上げるために築いたトリックも『百夜行』よりはヌルいとは思いました。
でも、最後の恒例どんでん返しが歴代作品はとちょっと違った。東野作品に慣れてくるとどんでん返しが読めるようになってくるのですが、今回は「あー、おまえー」って。先が読めない面白さを久しぶりに味わいました。

今までは刑事は刑事、犯人は犯人の領域があって安心して読んでたのに本作は違う。うーん、今までにないオチにずーんと重くなって最初の方また読み返したらちゃんと伏線ありました。

兄弟が偽名を使って草薙刑事と加賀刑事に変装。
草薙はガリレオシリーズの住人で、加賀は加賀刑事シリーズ、と別ワールドの登場人物の名前を使ってるんですよね。小ネタ探しも面白いです。

流星の絆流星の絆
東野 圭吾

講談社 2008-03-05
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2007年08月08日

千年王子/長野まゆみ

内容(「MARC」データベースより)
ワールドツアー校の新学期。教官の人気ランキングの最下位は今年もシンヤ。ぼくらは彼を呼び捨てにする。気の迷いで彼のプログラムをヒットしたぼくは、そこでとんでもない目にあう。女が総人口の数%となった未来の物語。


圧倒的に女が少ない世界での少年同士のラブロマンス??
はっきり言ってあまり意味解りませんでした。

大人の童話的雰囲気なのですが、うーん、性に合わない。内容に興味が湧かないまま読了。
こういうふわふわ浮遊感のあるものより、メリハリの付いたミステリーの方が自分は好きらしいということがよくわかりました。

千年王子千年王子
長野 まゆみ

河出書房新社 2001-06
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2007年07月21日

I'm sorry,mama./桐野夏生

出版社 / 著者からの内容紹介
人はどこまで邪悪になれるのか。
児童福祉施設の保育士だった美佐江が、自宅アパートで25歳年下の夫と共に焼死した。事件の背景に盗み、殺人、逃亡を繰り返す女、アイ子の姿が見える時、更なる事件が引き起こされる。


両親とも不明。娼家、児童養護施設育ちのアイ子40歳代が主人公の最悪人生ストーリー。
自分が生きていく上で無益の人間は喜んで殺す恐ろしい女。
生い立ちが最悪の恵まれない女なのに、卑劣すぎて同情できないや。あえて一つだけ言うなら、自分の年齢がずっと信じていた年より5歳も上だったと知らされたときはショックだろうな。42歳と47歳では全然違うもんな。

『グロテスク』に続いて世の中の底辺を生きる女を見事に描ききったという感じ。不愉快に感じる人も多いだろうけど、ある意味愉快なくらいの怪物女でした。怖いもの見たさで『残虐記』もいつか読んでしまおうかな〜。

I’m sorry,mama.
I’m sorry,mama.桐野 夏生

集英社 2004-11
売り上げランキング : 104858

おすすめ平均 star
starタイトルが深い。
starページを繰る指が止まりませんでした
star畠山鈴香容疑者を思い出しました。

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2007年07月17日

沈むさかな/式田ティエン

内容(「BOOK」データベースより)
急死した父親がある企業スキャンダルの当事者であったことから、地元から離れた場所でアルバイトをしていた17歳の高校生・カズのところへ、幼なじみの英介が訪ねてくる。彼はカズの父親の死には裏があり、その謎を解く鍵が海岸沿いに建つクラブにあることを教えてくれる。カズはクラブで働き、真相を探ることを決意する。だが、糸口さえ見えないままに事件は起き、英介が命を落してしまう。―スクーバ・ダイビングの描写も素晴らしい海辺を舞台にしたサスペンス。話題の『このミステリーがすごい!』大賞第2弾!優秀賞受賞作品。


著者・式田ティエン。という人。
この名前を初めて目にしたとき根拠もなくインド人とのハーフで若い女性だと思った。「あ、ティエンティエンちゃんの本がある。読もおっと」みたいなノリで手にしました。私が間違っていました(笑)。

主人公が「カズ」と「きみ」の二人称で進行されていて初めのうちは取っ付きにくかったけれども、「きみは・・・」は全編通しての最大の伏線ともいえるんじゃないかな。「あーきみはそうだったんだ。てことはあの時は・・・」と読み返してみるとえらい慎重に描かれていたことに気付いたり。
後半からハードボイルド(?)な雰囲気がまとい、主人公の成長も痛々しくも気持ちいいではありませんか。

中絶斡旋とかヒト再生細胞とか米軍横須賀基地内での横行とか、有りそうで無さそうな恐ろしい目論見描写があったけれども、読後一ヶ月以上たった今、一番に思い出すのは潮の匂いだったりする。

製薬会社が内密に人体実験を行う方法としてスポーツクラブの子どもたちが犠牲になってました。無料で配布するドリンクがまさに実験材料だったという。この部分を読んで思い出したのが『パーフェクト・ブルー』(宮部みゆき・著)でした。まさに同じ。

沈むさかな沈むさかな
式田 ティエン

宝島社 2003-03
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2007年07月08日

野ブタ。をプロデュース/白岩玄

内容(「MARC」データベースより)
舞台は教室。プロデューサーは俺。いじめられっ子転校生(キモチ悪いほどおどおどしたデブ)を人気者にすべく、俺はプロデューサーを買って出た! 『文芸』掲載を単行本化。第41回文芸賞受賞作。


時々ぷっと吹き出すところはあるものの予想外に切ない結末ではないか。100%コメディだと思ってたもんで。

若さゆえの仮面、あるある。
空回り元気、ある。
その場しのぎの会話、あったと思う。
一日を終えて自室に戻るとドッと疲れが出ることあった・・・。

常に人気者の地位をキープしつつ誰ともつかず離れず高校生活を送る修二に、人間関係の脆さや侘しさを感じずにはいられません。修二のように仮面を被り続けて、家族にすら素顔を見せない生き方をしているのに自分自身がそれに気づいていない若者、案外多そうだな。自分をさらけ出す術を知らない、青春病のようなものなのかな。

今どきの高校生の心理描写を上手に汲み取る年輩作家はいるけれど、「桐谷修二」の心理ほど今風に、そして的確に書かれている本に出会うのは珍しいかも。若い作家ならではの感覚で書かれてあるので、共感できる部分が多かったです。

修二のテンポの良いモノローグが逆に痛々しくて、そこが切ないんだな。

野ブタ。をプロデュース野ブタ。をプロデュース
白岩 玄

河出書房新社 2004-11-20
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2007年06月18日

しゃべれどもしゃべれども/佐藤多佳子

内容(「BOOK」データベースより)
しゃべりのプロだろ、教えてよ―あがり症が災いして仕事も覚束なくなった従弟の良や、気まぐれで口下手なために失恋ばかりしている美女の五月から頼られて、話し方教室を開くハメになった若い落語家の三つ葉。教室には苛めにあってる小学生や赤面症の野球解説者まで通ってきて…。嘘がつけない人たちの胸キュン恋愛小説。


噺家・今昔亭三つ葉がひょんなことから生きるのに不器用で素直じゃない人間4人を相手に「話し方教室」を開催。この教室を通してバラバラだった4人がいつの間にか輪になっていく過程が面白い。
三つ葉が噺のプロでも恋愛のプロではないあたりが人間臭くて放っておけないし。

人間ドラマも効いて、恋愛ドラマもかまし、文章のテンポが素晴らしく良いので飽きずにダダダッとのめりこみました。日本の風情がさりげなく感じられるのも素敵です。

比喩を用いた一節一節にパンチが効いてて笑えるやら頷くやらで目を見張るものがありました。頭が柔らかくないと思いつかない比喩ばかりで、これはきっと作者の持ち味なのでしょう。
こんな風に次から次へと喩え話が浮かべばどんなに素晴らしいことでしょ。羨ましいわー。

そんなわけで人を笑わせる落語ってええなーと普段観ない『笑点』を見ました。落語家というのは頭脳が柔軟で機転が利かないと話にならないなーと改めて感じました、とさ。

ミステリー小説に疲れたときや飽きたときに癒される一冊です。

しゃべれども しゃべれどもしゃべれども しゃべれども
佐藤 多佳子

新潮社 1997-08
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2007年06月08日

覆面作家/折原一

内容(「BOOK」データベースより)
顔に白頭巾をかぶってひたすらワープロを打ち続ける男。行方不明だった推理作家・西田操は七年ぶりに帰還して、長編『覆面作家』の執筆にとりかかった。それが、増悪と殺意の渦巻く事件の発端だった。劇中の小説と現実が激しく交錯し、読者を夢魔の世界に誘いこむ、傑作ホラー。真相は覆面作家だけが知っている。


何だかんだと折原作品、読むの10作目です。
で、何を思ったかというと、彼の叙述トリック結構飽きた(爆)。

彼の作品中に登場する主役の男は不運で不幸で、常に間が悪い奴が多く、それがホラーとしての恐怖を台無しにしている気がします。
内容紹介ではおどろおどろしい書き方がされているけれど、いやいやそんなに怖くありませんから(笑)。どちらかというとお笑い系?・・・とさえ思った読者がここに一人。

中盤あたりで表紙がネタバレっぽく感じたけれど、ぼんやり読んでいたのでトリックの解明がよく理解できなかったです。
ややこしいのか私がバカなのか、どちらかしらん。

覆面作家覆面作家
折原 一

講談社 1996-03
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2007年06月03日

神のふたつの貌/貫井徳郎

出版社/著者からの内容紹介
教会に生まれた少年は、ただ一途に神の愛を求めた。だが、それは恐るべき悲劇をもたらすことに…。無垢な魂の彷徨を描いた渾身作


牧師とその息子を中心に、背景はキリスト教をあてがった悲劇とでもいうのでしょうか。神の愛を欲っするどころか両親の愛すら満足に与えられていない少年の独白が真に迫ってます。

ただ・・・ぶっちゃけ難しいーのよ、これ。キリスト教とか神とか副音とか内容濃すぎてついていけないなぁ・・・と読んだことを多少後悔しつつ、時系列のカラクリに思いっきり騙されて、そこだけ面白かったです。

神のふたつの貌神のふたつの貌
貫井 徳郎

文藝春秋 2001-09
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2007年05月26日

殺意・鬼哭/乃南アサ

内容(「BOOK」データベースより)
『殺意』は、加害者・真垣徹の独白で綴られている。内なる大輪の花に魅せられ、彼は「殺人者」になる。『鬼哭』は、被害者・的場直弘の独白で綴られている。それは刺されてから死ぬまでの3分間の意識の流れ。「おそらくミステリー史上、かつてない試みであろう。…エンターテインメントの域をはるかに越え出た力業である」と評された異色作。


一つの殺人事件の加害者と被害者の独白を前半と後半に分けて構成した一風面白そうな試みに惹かれて読みました。『殺意』と『鬼哭』は元々、別作品扱いされていたのが文庫本で一つ(?)になったそうです。

―「呆れてものが言えねえよっ!」

被害者のたった一言が加害者・真垣の内に眠る殺意を覚醒させ、その芽を3年間育て上げた心理描写が『殺意』。相手が憎かったわけではなく、人類が生まれながらに持つ殺意を目覚めさせてしまったということ。刑務所出所後も殺人者の道を歩むと心に決めた彼の底知れぬ恐ろしさが、『殺意』の持ち味だと思います。

そして、その不運を背負ったのが被害者・的場。圧倒的に惨めな男です。
真垣に刺されてた瞬間から絶命するまでの約3分間の意識を走馬灯のように描ききった作者の手腕に脱帽です。
死に逝く3分間の意識と現状をスローモーションにして過去の回想を交えつつ、よくここまで沢山描けたなと感心しました。

殺意・鬼哭殺意・鬼哭
乃南 アサ

双葉社 2000-05
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2007年05月21日

たぶん最後の御挨拶/東野圭吾

表題通り、5冊目にして最後になるであろう東野氏のエッセイ。
表紙と目次に描かれてるニャンコのイラストは彼本人の直筆なんですよね。たぶん。

自分史の紹介と『使命と魂のリミット』までの自作紹介、映画化に対するコメント、地元話や学生時代、サラリーマン時代などの苦労、現在進行形の作家生活話や思い出話など、幅広く楽しめました。
特に過去作品に対するコメントがありがたいです。こちらとしても噛みしめて読まないと、とかしこまってしまいます。

意外や意外、この方、文学賞受賞数が少ないんですね。ほとんどの作品に何かしらの文学賞が付いていそうなイメージがあるのですが。
そう思うと文学賞受賞なんてものは評論家に恵まれているかどうかその時の運が大きく、「受賞作=最良作」という構図は案外当てにならんということです。

作品のテーマが社会的にタイムリーだと流行りに乗っているといわれ、早すぎると理解されないという不運の持ち主だということが判りました。

作品の本質を理解する能力がない評論家に対するグチがまともに書かれてて飾らない人柄だと思いました。
自称アホ家族といいながらも姉弟で元・スチュワーデスだの教師だの作家だのやっていればアホ家族とは一味も二味も違うだろ、とも思ったり。

アンチジャイアンツでありながら『巨人の星』が大好きな東野氏は爆笑問題の太田氏と本件について対談したらゼッータイ盛り上がると確信しました。実現しないかな〜。『巨人の星』にはこれっぽっちも興味がないけれど、いい大人が漫画を巡って熱く論争する姿が見たい。

一番面白かったのは「死ぬほど食べたい!」という料理屋の話。一人前のコース料理で30品が次から次へと出てきて、それを東野氏と福井晴敏氏と新野剛志氏の3人がヒーヒー言いながら食べる姿が目に浮かぶようで可笑しかった〜。これを食べきるには飲み物の分量やら胃もたれ料理は後回しなどの采配が大事で頭脳が必要とされるのでしょう。一番参ってたのは福井氏なのだ。

たぶん最後の御挨拶たぶん最後の御挨拶
東野 圭吾

文藝春秋 2007-01
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2007年05月18日

影踏み/横山秀夫

内容(「BOOK」データベースより)
窃盗罪での服役を終え出所した真壁修一(34)が真っ先に足を向けたのは警察署だった。二年前、自らが捕まった事件の謎を解くために。あの日忍び込んだ家の女は夫を焼き殺そうとしていた―。生きている人間を焼き殺す。それは真壁の中で双子の弟・啓二の命を奪った事件と重なった。十五年前、空き巣を重ねた啓二を道連れに母が自宅に火を放った。法曹界を目指していた真壁の人生は…。一人の女性をめぐり業火に消えた双子の弟。残された兄。三つの魂が絡み合う哀切のハード・サスペンス。


窃盗罪で刑務所を何度も出入りする男が、15年前に焼死した双子の弟の魂(?)の声とともに事件の謎を解く話です。

内縁の妻にあたる女性がありながら、人生を正すことなく窃盗を繰り返し続ける主人公に苛立ちさえ覚えた。読み進めるとなりを正さないそれなりの思惑が主人公にはあるのだけれど、それでも共感には程遠い。

そもそも窃盗目的で家屋に侵入する際、無差別にターゲットを選んでいること自体どうもダメ。せめて汚い金を囲ってる家を選べよってさ。

影踏み影踏み
横山 秀夫

祥伝社 2003-11
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2007年05月16日

名もなき毒/宮部みゆき

内容(「BOOK」データベースより)
どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。


これ、「このミステリィがすごい!」にランクインしたんだっけかな?
よく知りませんが、賞を獲得したと前知識を入れて読むと肩透かしくらう一冊でした。

テーマは毒で、殺人道具に使用された毒、人間の心の毒、土壌汚染の毒、シックハウス症候群など多角的方面から毒を照らし重厚な味は出ているものの、魅力的な登場人物がいないので何となく心の中で棒読みしてました。

読んでいるうちに気付きましたが、どうやらシリーズ前作があったらしく、そのことにも多少触れてある。前作を読んでいなくても本作に支障はないが、置いてけぼりのような気持ちにさせられてしまう個所が数点あり何となく心に引っ掛かりました。

解毒剤代わりなのか表紙はかわいいね(笑)。和む。

名もなき毒名もなき毒
宮部 みゆき

幻冬舎 2006-08
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2007年05月06日

愚行録/貫井徳郎

出版社 / 著者からの内容紹介
一家を惨殺した≪怪物≫はどこに潜んでいたのか? さまざまな証言を通して浮かび上がる家族の肖像、そして人間たちの愚行のカタログ。痛切にして哀切な、『慟哭』『プリズム』を凌駕する著者の真骨頂的作品、ついに登場!


閑静な住宅街での一家四人惨殺事件。犯人の侵入経路は浴室の窓。これだけ聞くと世田谷の一家惨殺事件を思い出さずにはいられない。本件の被害家族のバックグラウンドは本作のそれとは全く別のものです。

インタビュー形式で被害家族の実像に迫るというのは『ユージニア』(恩田陸・著)や『Q&A』(同・著)、『理由』(宮部みゆき・著)を彷彿させるものがあるけど、これらと決定的に違うのがインタビュアー、本作でいうルポライターの存在の大きさ。ルポライターが一家惨殺事件を取材する理由、ルポライターの正体。そもそも彼は本当にルポライターか、と。最後にはふんぎゃーと踏ん反り返ったぞ。

被害者夫婦の旧友と同僚と近所付き合いのある主婦の話で本作は構成されており、ルポライターのセリフは一言もなし。
終盤あたりからルポライターの真意が見えてきてゾガーと恐ろしくなりました。初めは全く気にならなかったルポライターの存在が最後には巨大な影に思えるの。目に見えないものこそ恐ろしい。別に幽霊でしたー、なんてオチじゃないよ。

被害者夫婦の大学時代の友人が明かす人物像と、会社の人間が話す夫の顔、ご近所の知る妻の姿、共通する部分があったりなかったり。
それにしても女性の裏の顔や嫌らしい真相心理を見抜くのはやはり女性の得意技ですな。

愚行録愚行録
貫井 徳郎

東京創元社 2006-03-22
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2007年05月04日

あくむ/井上夢人

内容(「BOOK」データベースより)
盗聴、その秘密の趣味にのめりこんだ時から、僕の生活は変わった。(「ホワイトノイズ」)ここは病院らしい。両眼を包帯で巻かれた私に誰かが近づいてくる。(「ブラックライト」)高校生のころ私は、人々と自分が違う「種」であることを知った。(「ブルーブラッド」)夢なのか、現実なのか、すべてがあいまいなまま“恐怖”という感覚に集約されてゆく。覚めやらぬ“あくむ”そのままの5つのホラーストーリー。


単なる悪夢だったらどれほどよかっただろうか、と思わせる5つの短編ホラー。
現実と夢の境目があやふやではあるけれども、全て現実と思わせるところに恐怖が2倍。

「ホワイトノイズ」は盗聴と恐喝と僕の正義感。
「ブラックライト」は病院、拘束、現実は悪夢より辛い。
「ブルーブラッド」は異種の同化、それ勘違い。
「ゴールデンケージ」は幻覚、寄生虫、誰か証明してあげて。
「インビジブル ドリーム」は他人の予知夢、どこがエッチやねん。

・・・キーワードはこんなものかな。
偏りのない5種類のホラーを楽しめました。
その中でも「ゴールデンケージ」 は皆が不幸で後味悪いし、体内をはびこる疥癬が気持ち悪かったなー。

あくむあくむ
井上 夢人

集英社 1996-08
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2007年05月02日

肉食屋敷/小林泰三

内容(「BOOK」データベースより)
異星からの遺伝子、内臓の臭い、一途な愛の狂気…現実のちょっと向こう側に渦巻く恐怖の世界。日本ホラー小説大賞短編賞作家が恐怖を凝縮させた4つの物語。ジュラシック・パークに刺激された研究者が、6500万年前の地層の中にあるDNAから地球外生命体を復元してしまう「肉食屋敷」、西部劇をモチーフにゾンビの世界を描いた「ジャンク」、人間の一途な愛が恐怖を生み出す「妻への三通の告白」、自分の中にあるもう一つの人格が犯した殺人に怯える「獣の記憶」を収録した小林泰三傑作短編集。


いい感じにグロイ3つ4つの短編集。

「肉食屋敷」
あとがきで作者さんは怪獣小説と説明されているけれども、怪獣と聞くとどことなく響きが和んだ感じになってしまって違和感あるな。
6500万年前の地球外生命体と人間をミックスしたエイリアンといったほうがおどろおどろしいさがある。

「ジャンク」
西部劇だとはあとがきを読むまで気付かなかったバカです。
だってさー、腐った人造馬引き連れてるんだもんよー。

「妻への三通の告白」
余命少ない老人が妻に宛てた手紙という形式で若い時代の三角関係を振り返る。ホロリ話かと思ったら全然違う。このサイコスリラーにはやられた!
にしても手紙執筆の老人の名前が野原で、その友人が磯野であることに笑った。

「獣の記憶」
ミステリー。精神異常と思われる主人公の奇行や最後のどんでん返しなど、折原作品のさらに濃いバージョンを読んでいるような気持ちになりました。

肉食屋敷肉食屋敷
小林 泰三

角川書店 1998-11
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2007年04月30日

人質カノン/宮部みゆき

内容(「BOOK」データベースより)
「動くな」。終電帰りに寄ったコンビニで遭遇したピストル強盗は、尻ポケットから赤ちゃんの玩具、ガラガラを落として去った。事件の背後に都会人の孤独な人間模様を浮かび上がらせた表題作、タクシーの女性ドライバーが遠大な殺人計画を語る「十年計画」など、街の片隅、日常に潜むよりすぐりのミステリー七篇を収録。


読む本がな〜い時に読むのは贅沢な一冊なのかもしれないと思った。
どれも現代人と家族・他人との繋がりを意識したものですな。

その中でも「八月の雪」はいい話なんだ。死んだ祖父母の若い頃の意外な話を耳にするのが葬式というのは、わかわかる。
事故で脚を無くし生きる活力を失った少年が、過激な歴史に関わってしまい死を覚悟したことのある祖父の過去を知る。少年の人生観に軽く電流が流れたことはいうまでもなく、結末に希望を残す感じが宮部作品らしいです。

集中して読むと無性にインパクトに残るの。

人質カノン人質カノン
宮部 みゆき

文藝春秋 2001-09
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続・嫌われ松子の一生 ゴールデンタイム/山田宗樹

内容(「BOOK」データベースより)
叔母である川尻松子の惨殺死から四年。松子の甥・川尻笙は、大学は卒業したが就職をすることもなく、将来への不安を抱きながら、東京でその日暮らしの生活を送っていた。しかし偶然知り合ったユリとミックの舞台演劇に対する熱い思いに触れ、笙も芝居の魅力へ強く惹かれていく。一方、自らの夢だった医師への道を着実に歩んでいた笙の元恋人・明日香は、同級生であり恋人の輝樹からプロポーズされ、学生結婚への決意を固め始めていた。だが両者が人生の意味を考えた時、思わぬ出来事が二人の未来を変えていく…。松子の“生”を受け継ぐ二人の青春を爽やかに描き、熱く心を揺さぶる青春小説の大傑作、誕生。


『嫌われ松子の一生』の続編だと思って読むと何か違うような気がするのですが、姉妹作の別作品と思えば問題なし。

4年前、松子の軌跡を追った甥・笙と当時の恋人・明日香の離別後のお話。
大学を卒業しても就職できなかった笙と、大学を中退後、医学方面へ向けて再出発した明日香が人生の岐路にぶち当たり取捨選択を迫られるのですが、将来の夢を見つけた笙と結婚することで医学の道にレールを敷かれてしまう明日香との対比が面白いです。あと癌を宣告された人の余命の過ごし方も。

俳優志望の笙を応援しないで罵った明日香に、正直なところ「あんた、何様だ」的な気持ちがひたひたと押し寄せてきたけれど、彼女の意見は真っ当だから困るんです(笑)。言い返せないんです。
人との繋がりにおいて相手を敬う気持ちは基本中の基本なのに、それを怠ってしまう部分に笙と明日香の若さが光ってて甘酸っぱくも眩しいです。
そして「ゴールデンタイム」の意味が痛いほどよく分かります。

ゴールデンタイム―続・嫌われ松子の一生ゴールデンタイム―続・嫌われ松子の一生
山田 宗樹

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2007年04月26日

グロテスク/桐野夏生

内容(「BOOK」データベースより)
名門Q女子高に渦巻く女子高生たちの悪意と欺瞞。「ここは嫌らしいほどの階級社会なのよ」。悪魔的な美貌を持つニンフォマニアのユリコ、競争心をむき出しにし、孤立する途中入学組の和恵。ユリコの姉である“わたし”は二人を激しく憎み、陥れようとする。圧倒的な筆致で現代女性の生を描ききった、桐野文学の金字塔。


モデルとなったらしい東電OL殺人事件をよく知らないので調べてみたら、わー見事なまでに内容が同じだ。

完璧な美貌を持て余すユリコによって翻弄される人々が痛々しい。
手記の書き手である主人公はユリコを蔑むフリして実のところ頭の中は彼女の存在に支配されていることが良くわかる。

名前の表記が「百合子」ではなく、「ユリコ」なのは怪物扱いしていたからでしょうか。

名門女子高生たちの異様なまでの差別や悪意が生々しい。女子高生のような集団生活者は皆が仲間で皆が敵という計算的意識があるから、有名女子高生たちは自分が堕ちないために差別精神を口外するかしないかなんだよなぁ。子供の悪意は確かに純粋さを孕んでいる。女子高生の場合はまだまだ遠慮のない年頃ながらも純粋さは消え、その悪意はドロドロしてるからタチが悪い。

グロテスクグロテスク
桐野 夏生

文藝春秋 2003-06-27
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posted by 桃鳥 at 23:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍

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